出産後、「肩こりや腰痛が辛い」、「体型が変わってしまった」などの悩みを持つママも多いでしょう。
これらの悩みには、出産に伴う骨盤の変化が関係しており、解決には緩んだ骨盤を整えて引き締めることが効果的です。
この記事では、産後の骨盤矯正の重要性と骨盤ケアのポイント、自宅で行えるセルフケア方法を解説します。
産後はデリケートな時期ですので、無理せず、できる範囲で取り入れてみてくださいね。
産後の骨盤の状態を正しく理解しよう
ケアを始める前に、出産に伴う骨盤の変化を知っておきましょう。
妊娠~産後の経過とともに解説します。
妊娠中は靭帯が緩み骨盤は広がる
妊娠をすると「リラキシン」という女性ホルモンの分泌量が多くなります。
リラキシンには、骨盤を支えている靭帯を緩める作用があり、分泌され続けると仙腸関節と恥骨結合がゆるみ、骨盤が開きやすくなります。
出産時はさらに広がる
リラキシンの影響を受け、本来はほとんど動かない骨盤が、さらに広がり、出産が行われます。
また、出産時は、胎児が体外へ出る際の圧力によって骨盤周辺の筋肉や靭帯が損傷する可能性があります。
中でも骨盤底筋群は伸展され、弱くなります。
産後の骨盤は自然に回復する
出産時に広がった骨盤は、産後、リラキシンの分泌量の減少など、ホルモンバランスの変化により自然に回復するとされ、時間の経過とともに靭帯のゆるみは徐々に改善されます。
とはいえ、産後すぐにホルモンバランスが妊娠前の状態になる訳ではなく、リラキシンは産後6か月くらいまで分泌されるため、産後もしばらくは骨盤が緩い(=骨盤が歪みやすい)状態が続きます。
産後にとる姿勢の影響が、その後のスタイルや体の不調に影響を及ぼすため、注意が必要です。
産後に骨盤矯正を行うメリット
出産に伴う骨盤の変化と生活環境の影響を受けて、産後の骨盤は歪みやすくなります。
骨盤の歪みはさまざまな不調の原因となりますので、骨盤矯正は単に骨盤の位置を整えるだけというわけではなく、その後の健康にも大きく影響します。
体の不調改善
腰痛・肩こりの解消
骨盤の歪みが反り腰や猫背の原因になっていることがあり、根本原因である骨盤を整えることで軽減できる可能性が高くなります。
尿漏れの改善、子宮脱予防
出産で骨盤底筋群はかなり引き延ばされます。
骨盤矯正で骨盤底筋群の緩みによる症状の改善が期待できます。
体型もどし
骨盤回りの筋肉と靭帯が正しい位置に戻ることで、腹部がひきしまり、スッキリとします。内臓を支える力が改善されるため、ポッコリお腹の改善にもつながります。
姿勢改善
骨盤の歪みが整えられることで、背骨の位置が整い、姿勢が自然と改善されます。
体を効率よく使えるようになり、疲れにくい体へと変化します。
関節への負担軽減
全身のバランスが整うため、歩行時のバランスが改善し、不必要な負荷が関節にかからないようになります。
内臓機能の向上
内臓が元の位置に戻るため、内臓機能の向上と代謝UPが期待できます。
要注意!産後の骨盤矯正で危険なケース
恥骨結合炎(ちこつけつごうえん)や恥骨結合離開(ちこつけつごうりかい)などが生じている場合、骨盤矯正を行うことは大変危険です。
産後に恥骨周辺に痛みがある、寝返りの時に痛みが出るなど、痛みがある場合は、出産した産婦人科もしくは、整形外科を受診し、痛みの原因を精査してから骨盤矯正を始めましょう。
産後の骨盤矯正に重要なポイント2つ
産後は育児で忙しく、体も回復途中なので、安全に骨盤矯正をはじめましょう。
押さえておくべきポイントは2つです。
無理をしないこと
無理をすると体に悪影響を及ぼす可能性があるため、自分のペースで少しずつ取り組みましょう。
毎日出来なくても大丈夫です。
できる時にできる範囲で行いましょう。
専門家のアドバイスを受ける
産後の健診で医師の運動許可を確認してから始めましょう。
出産後の状態・回復度合いは人それぞれです。
体の状態を正しく評価し、自分にあったケア方法を見つけることが近道です。
可能であれば理学療法士や整体師などの専門家に相談すると、効果的に骨盤矯正を行うことができます。
自宅で行える産後の骨盤ケア方法
産後の骨盤矯正に効果的なセルフケア方法と注意点をご紹介します。
- 骨盤ベルトの活用
- 日常生活でも姿勢を意識する
- 骨盤底筋群を鍛えるエクササイズ
1.骨盤ベルトの活用
産後すぐから使用できる骨盤ベルトには、次の効果が期待できます。
- 腰回りの筋肉の負担を軽減するため、腰痛を予防・改善する
- 骨盤全体をサポートすることで恥骨痛を予防・改善する
- 産後の緩んだ骨盤が元に戻るのをサポートする
このように、日常生活をサポートする道具として有効ですが、個人の状況に合わせて適切に使うことが重要です。
サイズが合っていなかったり、締めすぎると意味をなさないので、入院中に助産師などの専門家に巻き方、装着時間などを確認しておくと安心です。
また、骨盤ベルト使用の注意点として、骨盤ベルトへの依存を避けるため、体調を見ながら少しずつ使用時間を減らしていくことが推奨されています。
2.日常生活でも姿勢を意識する
悪い姿勢は骨盤に負担をかけるため、普段から良い姿勢を意識しましょう。
たとえば、
- 座るときは骨盤を立てるようにし、背筋を伸ばして座る
- 同じ姿勢を長時間続けない
- 授乳時、授乳クッションなどを使って、前かがみにならないようする
などが挙げられます。
3.骨盤底筋群を鍛えるエクササイズ
①膝を抱えて引き締め体操
骨盤の左右のバランスを整えるのにも効果的な体操です。
(1)仰向けになり、足をそろえて、左右のヒザとかかとが床と平行になるようにしながら両腕で膝を抱える。
(2)息を吸って骨盤をゆるめ、吐きながら膝を胸に引き寄せる
(3)10秒間キープし、3回繰り返す
②足首交差で引き締め体操
骨盤底筋群を締める体操です。
(1)あお向けになり、足首を持ち上げて交差させる。手は床の上に。
(2)息を大きく吸って骨盤をゆるめる。
(3)息を吐きながら、両足首が互いに押し合うように力を入れる。
(4)交差する足を入れ替えて同様に。左右交互に3回繰り返す。
(引用:https://www.biteki.com/life-style/body-care/415493#heading05)
このようにセルフケアには
- 費用がかからない
- 時間や場所を選ばず実施できる
- 継続的に行いやすい
というメリットがありますが、正しい方法で行わなければ効果は得られません。
そのため、次に紹介する専門的な施術やトレーニングと組み合わせるといいでしょう。
専門家のサポートによる産後の骨盤矯正はどんなもの?
専門家による骨盤矯正には、整骨院や接骨院や整体院での施術や、ストレッチやエクササイズ、筋力トレーニングなどがあります。
具体的な内容は次のとおりです。
整骨院・接骨院、産後専門の整体院、鍼灸院など
専門家の手技によって骨盤矯正を行います。
主に全身バランスを見ながら骨盤の位置を調整したり、骨盤回りの筋肉の緊張をほぐし、柔軟性を高める施術を行います。
ピラティススタジオ・ヨガスタジオ
ピラティスでは、骨盤底筋群などのインナーマッスルや骨盤回りの筋肉を鍛えるエクササイズや硬くなった筋肉をほぐすエクササイズを行います。
ヨガでは、ストレッチ要素のあるポーズで、骨盤回りの筋肉をほぐして柔軟性を高めます。
産後の骨盤矯正に最適な時期と期間は?
骨盤矯正には、始めるのに適した時期、効果が出やすい時期があります。
ここでは、矯正にかかる期間も含めて解説します。
骨盤矯正の開始時期
産褥期を過ぎた産後2か月くらいから始めるのが適切です。
個人によって回復状況は異なるため、念のため産後の検診時に医師に確認しましょう。
骨盤矯正の効果が出やすい時期
骨盤周りの筋肉や靭帯が柔軟な、産後2か月以降~6か月以内が効果が得られやすいと言われています。
整骨院・接骨院、産後専門の整体院などに通う場合の通院期間
骨盤の状況や生活習慣など、個人によって差はありますが、週1回程度のペースで通い始め、施術回数を重ねるにつれ徐々に通院間隔があくようになります。
通院期間は、トータルで2~3か月になることが多いようです。
産後1年以上経過している場合
筋肉や靭帯が硬くなるため、矯正には長い期間が必要になりますが、継続的に行うことで、効果を得ることが可能です。
産後の骨盤矯正で健康的はママライフを
産後の骨盤矯正は、健康的な体を取り戻すための大切なステップです。
育児や家事に追われ、自分のことは後回しになってしまいますが、できる範囲でセルフケアを取り入れ、体調を整えましょう。
さらに専門家によるサポートを併せると、体のケアと心のケアに繋がるのでおすすめです。
産後の適切なタイミングで骨盤矯正を行い、健康的な体型を維持して充実したママライフを送ってくださいね。