「階段の上り下りで膝が痛い」
「股関節がこわばる」
「肩が上がらない」
などの関節痛、「年だから仕方ない」なんて諦めてしまってはいませんか。
その関節痛、ピラティスなら予防や改善ができるかもしれません。
放っておくと日常生活が困難になるかもしれない関節痛だからこそ、予防が大切です。
この記事ではピラティスが関節痛に効く理由、膝・股関節・肩を守るエクササイズと続け方のコツを解説します。
本記事は、理学療法士兼PHIピラティスマスタートレーナーである「戸田圭哉」監修監修のもと執筆されています。
運営元のピラティススタジオ『ルルト』は、理学療法士が在籍する株式会社理学ボディが運営しており、医療・運動の両面から身体の悩みにアプローチしています。
本記事は、PHIピラティスマスタートレーナー兼理学療法士である「戸田圭哉」監修監修のもと執筆されています。
運営元の【マシンピラティススタジオ ルルト】は、理学療法士が在籍する株式会社理学ボディが運営しており、医療・運動の両面から身体の悩みにアプローチしています。
関節の痛みを放置するとどうなる?関節リウマチや変形性関節症との関係

「ちょっと膝が痛いかも?」くらいの関節痛では、一時的なものと考え対策をしようとは思わないでしょう。
そのまま何もケアを行わず長期間放置しておくと、「変形性関節症」につながる可能性があります。
変形性関節症は、軟骨がすり減る、変形するなどし、関節の痛みが現れるものです。
多くの場合、加齢や使いすぎにより起こるもので「年だから」と放っておきがちですが、悪化すると寝たきりになってしまうこともあります。
その他、変形性関節症以外には関節リウマチの可能性もあります。
関節リウマチは、自己免疫疾患の一つで、手・指・手首などに痛みやこわばりが現れます。
放っておくと、関節が変形し、日常生活が困難になることもある病気です。
さらに関節リウマチの人が変形性関節症を発症する確率は、そうでない人に比べ約2.75倍高いことがわかっています。
「ただの関節痛」と放ってくことなく対策を取ることは、将来にわたって健康に過ごすために大切なことです。
膝や股関節に負担がかかる生活習慣
関節痛に悩む方のなかには、普段の日常生活でさえつらいと感じることがあるでしょう。
特に膝や股関節は、日常動作に大きくかかわり、負担がかかりやすい部位です。
【痛みを感じやすい日常動作】
- しゃがむ
- ひざまづく
- 重いものを持つ
- 立ちっぱなし
- 座りっぱなし
いずれも普段何気なくやる動作です。
たとえばトイレが和式だった場合、トイレに行くたびにしゃがむことになります。
掃除や洗濯などの家事にもしゃがむ動作は多いですよね。
立ち仕事はもちろん、料理をしているときにも立ちっぱなしに、デスクワークでは座りっぱなしにと、膝や股関節に負担がかかる動作は生活習慣のあちこちにあります。
加齢・筋力低下・姿勢不良による関節痛
変形性関節痛を含む関節痛が起こる原因は一つではありませんが、もっとも大きな要因が加齢です。
長年使い続けた軟骨が弾力を失うことですり減り、痛みとなって現れます。
つまり、誰にでも起こりうる身近な症状といえます。
さらに、筋力低下も関節痛を起こす要因です。
加齢や運動不足によって筋力が低下すると、膝や股関節を支える力が弱まり、関節への負担が増加します。
特に膝では、支える筋肉が十分に働かないことで軟骨への圧力が高まり、摩耗が進行しやすくなります。
また、姿勢の悪さにも注意が必要です。
長時間のデスクワークで腰を深く曲げた姿勢を続けるなど、日常的な姿勢不良が股関節や膝に余分な負担をかけ、関節痛を引き起こす一因となります。

なぜピラティスが関節痛予防に効果的なのか

ピラティスは、もともとリハビリのために考案されたエクササイズです。
体に痛みがある、あるいは動きに制限がある場合でも効果的にできるのがポイント。
ピラティスはたとえ関節痛があっても大きな負荷をかけることなく効果的に筋力を鍛え、柔軟性を向上し、姿勢を改善できます。
痛みがあるからと放置するのではなく、ピラティスを継続することで関節痛の予防や改善が期待できるでしょう。
痛みが強い場合は、運動を始める前に、必ず医師に相談し、許可をもらってから行いましょう。
インナーマッスルを鍛えて関節への負担を軽減
関節痛の主な原因は、膝や股関節に負担がかかることで起こる軟骨の摩耗です。
そのため膝や股関節にかかる負担を減らすことが、関節痛を予防につながります。
そこで重要なのが、体を内側から支えるインナーマッスルです。
インナーマッスルとは、体の深層に位置する筋肉群のことで、姿勢の安定や関節の動きをサポートする役割を持っています。
ピラティスは、このインナーマッスルをバランスよく鍛えることを重視したエクササイズです。
特に、次の4つの筋肉が関節の安定に大きく関わっています。
- 腹横筋
- 多裂筋
- 横隔膜
- 骨盤底筋群
これらのうち、横隔膜は呼吸を通じて体幹と骨盤を連動させる働きがあり、多裂筋は背骨・腰・骨盤の安定を担っています。
どちらも股関節や膝関節の動きに深く関係しており、しっかりと鍛えることで、関節への負担を軽減する効果が期待できます。
柔軟性向上で動作がスムーズに
柔軟性と関節痛は一見関係がないように見えて、密接な関係があります。
柔軟性が向上すると関節の可動域が広がり、階段をのぼる、しゃがむ、体をひねるなど日常生活のなにげない動作がスムーズになります。
その結果、関節への負担が軽減され、関節痛の予防が期待できます。
体の柔軟性を高めるためには、表層のアウターマッスルの硬さを取ることが大切です。
そのためには、深層にあるインナーマッスルを鍛え、体を内側から安定させることが効果的です。
インナーマッスルがしっかり働くようになると、アウターマッスルの余分な緊張が自然と緩み、結果として全身の柔軟性が向上します。
ピラティスはインナーマッスルを効率的に鍛えるエクササイズです。
継続して行うことで、体がしなやかに動くようになり、関節に負担をかけない自然な動作を身につけることができます。
姿勢改善で膝や股関節の歪みを防ぐ
姿勢は、膝や・股関節に大きな影響を与えます。
たとえば猫背や反り腰は、骨盤が前傾あるいは後傾し、骨盤のゆがみにつながります。
骨盤が歪むと、股関節にかかる力のバランスが崩れ、さらに膝や腰にも余分な負担がかかるため、痛みが生じやすくなります。
つまり、姿勢を整えることは、結果的に膝や股関節の歪み、痛みを根本から改善するための重要なポイントです。
ピラティスは、インナーマッスルを鍛え、骨盤、背骨を正しい位置に導くため、腰や肩負担を軽減しながら、歪みを予防・改善します。
血流促進による炎症予防効果
体が冷えると血行不良になり、筋肉が固くなることで関節に負担が増します。
このような状態が続くと、関節周囲で炎症が起こり、痛みを感じる場合があります。
こうした炎症を予防するには、血流をよくすることが重要です。
血流をよくするには、体を温めることも大切ですが、軽い運動によって全身の血液循環を高めることがより効果的です。
ポイントは次の二つです。
- 全身の筋肉を使うこと
- 深い呼吸を行うこと
全身の筋肉を使うことで血液の流れが良くなり、深い呼吸によって血液中の酸素濃度が高まります。
ピラティスはこの動きと呼吸法を効果的に行うエクササイズなので、継続的に行うことで血流を改善し、関節の炎症予防に役立ちます。

関節別ピラティスの効果とおすすめエクササイズ

関節痛の予防あるいは改善におすすめのピラティスのエクササイズを膝・股関節・肩にわけて紹介します。
「無理や痛みのない範囲で動かすこと」、「過剰な負荷をかけないこと」の2つを守りながらバランスよく筋肉をつけ、可動域を広げることで関節痛を予防しましょう。
朝起きたとき、夜寝る前などタイミングを決めて行うのが継続のコツです。
膝痛予防に効果的なピラティスエクササイズ
骨や関節の動きをサポートするインナーマッスルを鍛えることで、膝の負担を軽減します。
膝にかかる負担も少なく、血流促進にもつながります。
● レッグスライド(Leg Slide)
目的: 太もも前面と内ももを優しく使い、膝関節を安定させる。
やり方:
- 仰向けになり、膝を立てる。
- 片足をゆっくり前に伸ばし、床をなでるようにスライドさせる。
- 伸ばしきったら、元の位置に戻す。
- 左右交互に5〜10回ずつ。
ポイント:
腰を反らせず、骨盤を安定させたまま動かす。
→ 大腿四頭筋(太もも前)や内転筋が自然に働き、膝関節への負担を減らす。
● ブリッジ(Pelvic Bridge)
目的: お尻・もも裏を鍛えて、膝と股関節を同時に安定させる。
やり方:
- 仰向けで膝を立て、足を腰幅に開く。
- 息を吐きながら、お尻をゆっくり持ち上げる。
- 肩〜膝が一直線になる位置でキープし、息を吸いながら下ろす。
- 5〜8回程度。
ポイント:
太もも裏(ハムストリングス)を意識し、膝を内側に倒さない。
股関節の関節痛予防・改善に効果的なピラティスエクササイズ
それぞれの動きをゆっくり無理のない範囲で10回程度繰り返しましょう。
深い呼吸を意識するとより効果的です。
● クラムシェル(Clam Shell)
目的: お尻の横(中殿筋)を鍛え、股関節の安定を高める。
やり方:
- 横向きで寝て、膝を軽く曲げる。
- 足のかかとはつけたまま、上の膝だけをゆっくり開く。
- 息を吐きながら開き、吸いながら戻す。
- 各側8〜10回。
ポイント:
骨盤を後ろに倒さず、体幹を安定させたまま動かす。
● レッグリフト(Side Leg Lift)
目的: お尻・太もも外側を鍛え、股関節の動きを滑らかにする。
やり方:
- 横向きで寝て、下の脚を少し曲げる。
- 上の脚をまっすぐにして、息を吐きながら持ち上げる。
- 息を吸いながらゆっくり下ろす。
- 各脚8〜10回。
ポイント:
腰を反らせず、骨盤をまっすぐキープ。
肩の関節痛予防・改善に効果的なピラティスエクササイズ
肩甲骨を動かし、可動域を確保するエクササイズを2つご紹介します。
● スキャプラアイソレーション(Scapula Isolation/肩甲骨の動き出し)
目的: 肩甲骨まわりを動かして、肩関節の動きをスムーズにする。
やり方:
- 四つん這い、または仰向けで腕を伸ばす。
- 肩甲骨を寄せるように背中を軽く沈ませ、次に背中を押し上げる。
- ゆっくり5〜8回繰り返す。
ポイント:
肩をすくめず、首をリラックスさせる。
● ショルダーブリッジ(Shoulder Bridge)
目的: 背骨・肩・胸まわりの柔軟性を高め、肩の負担を軽減。
やり方:
- 仰向けで膝を立てる。
- 息を吐きながら背骨を1つずつ持ち上げるようにして、お尻を上げる。
- 息を吸ってキープし、吐きながらゆっくり下ろす。
- 5〜8回。
ポイント:
肩と首に力を入れず、背骨を丁寧に動かす意識を持つ。
ピラティスで関節を守りながら健康的に動ける体へ

関節痛は、日常のふとした動きにでも痛みを感じ、生活に支障をきたすことがあります。
その予防には、次の4つのポイントを意識しましょう。
- インナーマッスルを鍛える
- 柔軟性を高める
- 姿勢を整える
- 血流を促進する
リハビリを目的として開発されたピラティスは、これらのポイントすべてに効果的にアプローチし、関節に負担をかけず、無理なく体を整えます。
体が硬い人や、運動が苦手な人でも大丈夫です。
「自分に合うだろうか?」「続けられるか不安…」という方、「安全に始めたい」という方は、体験レッスンでピラティスインストラクターの指導を受けてみるのがおすすめです。
関節痛を我慢する前に、体を整えることが何よりの予防になります。
今こそピラティスで健やかな体づくりを始めてみませんか。

この記事の著者・運営者:マシンピラティススタジオ ルルト









