肩こりや腰に痛みを感じる人の多くは、悪い姿勢に原因があります。
悪い姿勢は、見た目だけでなく、内臓の働きや血液循環、代謝にも影響するため、悪化する前のケアが重要です。
本記事では、自分で姿勢改善をしたい人向けに、日常生活で気を付けるポイントや自宅でできるセルフケア方法を解説します。
姿勢改善は毎日の積み重ねがとても大事です。
これからご紹介する方法を実践し、日常生活に役立ててくださいね。
姿勢改善はなぜ重要なのか
良い姿勢を維持することは、より健康的な生活を送ることにつながります。
というのも、「反り腰」や「猫背」など悪い姿勢は、体の不調(疲れやすくなる、むくみや冷え性、腰痛や肩こりなど)の原因になるからです。
ここでは、姿勢について次の3点を解説します。
- 良い姿勢とはどんな状態?
- 悪い姿勢の問題点
- 姿勢改善のメリットと効果
さっそくみていきましょう。
良い姿勢とはどんな状態?
良い姿勢とは、次の図の状態を指します。
【横から見た時】
耳たぶ、肩峰(肩関節の前方)、大転子、膝関節の前方、外果の前方が一直線になる姿勢
【後ろから見た時】
後頭隆起(後頭部)、椎骨棘突起(背骨)、殿裂(お尻の割れ目)、両膝関節内側の中心、両内果(内くるぶし)の中心が一直線になる姿勢
次に、簡単に姿勢の傾向がわかるチェック方法をご紹介します。
ぜひご自身の傾向を確認してみてください。
【簡単セルフチェック】
- 壁から30cmほど前に背を向けて立ちます。
- そのままの姿勢で壁にくっつくように下がります。
- 壁と腰の間にできた隙間をチェックします。
悪い姿勢の問題点
悪い姿勢は、それぞれ異なる健康リスクの原因になります。
具体的には、
- 猫背… 肩こり、頭痛、内臓への圧迫
- 反り腰… 腰痛、腹筋の弱体化
- ストレートネック… 頭痛や眼精疲労、肩こり
などが挙げられます。
悪い姿勢は長期間放置すると悪化し、年齢を重ねるとともに治りにくくなるため、日常的なケアがとても重要です。
姿勢改善のメリットと効果
姿勢を整えると、次のメリットや効果が得られます。
①筋肉や関節への負担軽減
全身のバランスが整うため、筋肉や関節に不必要な負担がかからなくなり、腰痛や肩こりなどの不調の軽減に繋がります。
また、楽に体が使えるようになるので、疲れにくくなります。
②呼吸機能の改善
胸郭が開くため、肺の容量が増え、深く呼吸ができるようになります。
③消化機能の向上
内臓が本来あるべき位置でキープされるので、消化器系の機能が改善します。
場合によっては、便秘や胃腸の不調の解消につながる可能性があります。
④血液循環の改善
姿勢が整うことで、深い呼吸ができるため、血液循環が良くなり、むくみや冷え性の改善につながります。
また、肌のターンオーバーが良くなるため、肌質改善の効果も期待できるでしょう。
⑤基礎代謝の向上
深い呼吸が行えること、体を楽に動かせるようになることで基礎代謝量の向上が期待できます。
⑥睡眠の質向上
良い姿勢は、体がリラックスしやすい状態となるため、睡眠の質が向上します。
⑦ボディラインが美しくなる
背筋が伸び、関節や内臓の位置が整うため、見た目がよくなります。
見た目の変化は、自己肯定感の向上にもなります。
姿勢改善が必要な人に共通する問題点
悪い姿勢の主な原因は次の2つです。
- 悪い姿勢で過ごす時間が多い
- 筋肉のバランスが悪い
【原因1】悪い姿勢で過ごす時間が多い
体に負担がかかる姿勢が習慣化されることで、悪い姿勢が体に定着します。
特に、前かがみの姿勢での座り仕事や長時間のスマホの使用は、首や背中に負担をかけるため、猫背やストレートネックの原因になります。
【原因2】筋肉のバランスが悪い
全身の筋肉のバランスが悪いとアライメント(全身の骨格や筋肉の配列)を崩す大きな原因になります。
背中の筋肉と、腹部の筋肉の発達具合に差がある場合を例にすると
- 背中の筋肉 > 腹部の筋肉 の場合
知らず知らずのうちに前かがみの姿勢になりやすく、気づかないうちに猫背になる。 - 背中の筋肉 < 腹部の筋肉 の場合
腹筋が弱いため、反り腰になるケースが多い。
このように、筋肉の発達にアンバランス差があると姿勢が崩れる原因になるため、全身の筋肉をバランスよく鍛えることも大切です。
自分で姿勢改善!日常生活上の注意点3つ
日常生活で姿勢を意識することは、良い姿勢を維持するためにはとても重要です。
次の3つのポイントに注意し、姿勢の維持・改善を目指しましょう。
- 正しい座り方と立ち姿勢を維持する
- 適度な運動とストレッチを取り組む
- 高すぎるヒールや重いバッグを避ける
1.正しい座り方と立ち姿勢を維持する
座るときは背筋を伸ばし、立つ時は少し腹筋に力を入れましょう。
正しい座り方と立ち方をご紹介します。
座り方
- 椅子に深く腰かけ、坐骨を座面に当てる
- あごを引き背筋を伸ばす
- 足底を床につける
- 膝は90度の角度を保つ
立ち方
- 両足を肩幅より少し狭く開く
- 体重を両足に均等にかける
- 下腹は少し力を入れてひっこめる
- 背筋を伸ばす
- あごを少し引く
【デスクワーク時に良い姿勢を維持するポイント】
オフィスチェアを選ぶ際は次の2つに気をつけると良い姿勢が保ちやすい。
・座面までの高さ…身長の4分の1の高さのもの
・背もたれの高さ…肩甲骨の上まであるもの
姿勢改善をサポートする道具やツール(姿勢矯正ベルトやクッションなど)の利用も効果的。自分の作業環境に合うものを選びましょう。
サポートグッズは、姿勢をサポートするためのもので、姿勢を改善するものではないので、根本的な姿勢改善には、適度な運動と良い姿勢を意識することが不可欠。
2.適度な運動とストレッチを取り組む
運動不足によって筋力が低下すると骨格を正しい位置で支えられなくなり、姿勢が崩れやすくなります。その結果、悪い姿勢が定着します。
適度な運動とストレッチを習慣化すると、血流・血行が改善し、姿勢改善が期待できるため、おすすめです。
具体的には、散歩やウォーキング・軽いジョギング・ストレッチなどがいいでしょう。
また、ストレッチを行う際は、ゆっくりした呼吸を意識すると、自律神経の働きが穏やかになり、リラックス効果や睡眠の質改善にもなります。
3.高すぎるヒールや重いバッグを避ける
高すぎるヒールは体重のバランスを前に傾け、重いバッグは肩や腰、ウエスト周りに負担をかけるため、偏った歩き方・立ち方の原因になります。
腰や肩に痛みがある場合は特に、ハイヒールでの外出や、重い荷物を持っての外出は避けましょう。
姿勢改善におすすめのセルフケア|ストレッチ&エクササイズ3選
姿勢改善には、自分の姿勢に合ったエクササイズを選ぶことが重要です。
おすすめのストレッチ&エクササイズをご紹介しますので、ぜひトライしてみてください。
セルフケア1 巻き肩・猫背改善エクササイズ
猫背の場合は、肩甲骨周りの筋肉をストレッチするエクササイズが効果的です。
猫背だけでなく、巻き肩など全身の姿勢矯正に効果的なので、ぜひ取り入れてください。
- 四つん這いになる
- 右ひじをついて、その手の前に左手を伸ばす
- そのままゆっくりと体を右側に向けて、左の脇腹をストレッチする
- ③の状態で鼻から息を吸って、吐きながら脇腹をさらに伸ばす
- 反対側も同様に行う
セルフケア2 反り腰解消エクササイズ
反り腰は腹部の筋肉が弱くなることが多いため、ここでは腹部をターゲットとしたエクササイズ「プランク・初級編」をご紹介します。
- 四つん這いになる
- 手の位置を肩の幅に合わせる
- 手の位置はかえずにその状態で3歩後ろに脚を引きます
(手と膝の位置が離れるほど強度が上がります) - 足を軽く交差する
- 手で床をプッシュした状態で、お尻を下げ、頭から膝までを一直線に保ちながら、腹筋と背筋を締める
- この状態を目標時間(例えば30秒や1分)キープする
セルフケア3 反り腰、猫背改善に効果的なエクササイズ
背筋を長く保つこと(=エロンゲーション)で背筋や腹筋にアプローチするエクササイズをご紹介します。
- 一方の脚は外に開き、もう一方は前に出して座る
- 左右均等に体重をかける
- 両腕を開き、背骨を長く保つ
- そのまま腕を斜め上に伸ばす
- 反対側も同じ動きを行う
(※背骨を長く保って、木の枝がきしむイメージで行いましょう) - 脚をかえて、反対側も行う
ピラティス スタジオ ルルトのinstagramやYouTubeでは、他にもたくさんのエクササイズ動画をご紹介していますので、ぜひご覧ください。
セルフケアで姿勢改善を行う際の注意点
自分で姿勢改善を行う場合は、安全な方法で根気よく続けることが重要です。
そのためには、これからご紹介する内容を把握した上で取り組むようにしましょう。
改善前の姿勢を分析する
姿勢改善を始める際は、改善前の現状把握がとても重要です。
冒頭でご紹介した姿勢チェックで傾向をつかみ、状態に合ったエクササイズを行いましょう。
効率よく姿勢改善したい方は、姿勢を正しく分析できる理学療法士や整体師など、専門家に見てもらうことがおすすめです。
専門家は姿勢の傾向だけでなく、悪くなっている原因まで分析し、原因に合わせた運動を提案できるからです。
可能であれば専門家による姿勢評価を受けてみてください。
正しいフォームでエクササイズやストレッチを行う
無意識に反動をつけていたり、崩れたフォームでエクササイズを行うと、体を痛める原因になります。
動画や画像を見て行う場合は、全身が映る鏡を使って、自分のフォームや動きを確認しながら行いましょう。
心配な方は、専門家のレクチャーを受けてから始めると安心です。
根気よく継続する
すぐに姿勢が改善するわけではないので、最低でも2~3か月、根気よく継続することが必要です。
姿勢が整ったあとでも、普段の姿勢が悪いとすぐに元に戻ってしまうため、日頃から姿勢を意識しましょう。
姿勢改善に取り組むなら理学療法士のピラティスがおすすめ!
実際に効率よくセルフケアをするなら、正しく姿勢を評価し、自分にあったエクササイズメニューを組んでくれる、専門家監修のトレーニングがおすすめです。
ピラティスは、リハビリが起源のエクササイズのため、手を上げるのがつらい方や肩こりがひどい方など、体に痛みがある場合でもその人に合ったアプローチを行うことができます。
さらにピラティススタジオ ルルトには、理学療法士の資格を保持したインストラクターが多数在籍しており、筋肉の知識や体の構造などの深い専門知識を持っているため、体調や体力に不安がある方も安心して始められます。
まとめ|姿勢改善で生活全般にプラスの効果を
姿勢改善はただスタイルを美しく見せるだけではなく、健康促進、美容、そして心地よい生活につながります。
姿勢改善には、生活習慣の見直しや運動習慣の確立、適切なフットウェアを選ぶなど、さまざまな角度から取り組むことが重要です。
日々の意識や行動が大切なので、長い視点をもって取り組みましょう。